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タゴール「家なき鳥」

グローリア・ウィーランの「家なき鳥」について知ってから、タゴールのこの詩がどこにあるのか探してきました。どうやら、1916年発表の『渡り翔ぶ白鳥 (原題: Balaka)』という詩集に入っているようです。
まず、グロリア・ウィーランさん自身のサイトに、タゴールの詩が引用してあります。
Gloaria Whelan - Homeless Bird
Many are the human speeches I've heard migrating
in flocks, flying on invisible tracks
from obscure pasts to distant inchoate futures.
And within myself I've heard
day and night
in the company of countless birds
a homeless bird speeding through light and dark
from one unknown shore to yet another.
On cosmic wings a refrain echoes through space:
'Not here, no, but somewhere, somewhere else!'


でも、ここにはどの詩集から取られたとか、何も手がかりはありません。英訳はあっても、日本語訳はない可能性だってあります。とりあえず、この英訳詩を手がかりにして、『タゴール著作集』を当たってみることにしました。何かのときには、これが一番頼りになります。

どうやら上記の英訳は、長い詩の一部のようです。片山敏彦氏の訳による対応する部分がありますので、引用してみたいと思います。

わたしは聞く ー 人間の心の無数の声々が
人々の眼には見えずに渡り飛んでいる音を。
その音は おぼろげな過去から まだ花咲かない未来へと飛んでいる。
聞け、自分自身の胸の内に
故郷のない鳥が はばたくのを。
その鳥は 無数の仲間であるほかの鳥たちとともに
昼も飛び 夜も飛ぶ ー
光の中を また暗さの中を
岸べから 未知の岸べへと。
《全存在》の真空に つばさのある宇宙(コスモス)の音楽が こだまして満ちわたるー
「ここではない。ここではない。もっと遠いかなたへ行こう。」

「渡り飛ぶ白鳥」より 片山俊彦訳
『タゴール著作集第1巻』354ページ
第三文明社、1981年

また、我妻和男氏著による『人類の知的遺産61 タゴール』にも、この詩の訳が載せられています。若干訳が異なって興味深いです。同じく、対応部分を引用します。
私は聞いた
 人間の無数の言葉が群れをなして
 目に見えぬ道を飛んでいく、
おぼろげな過去から
 まだ咲かぬ 遥かなる次の時代へと。
私は聞いた。
 私自身の心の中に
 無数の鳥たちと共に
 巣なき鳥が 昼も夜も
 光の中も 暗闇の中も
 み知らぬ岸辺から み知らぬ岸辺へと
 疾風のように翔んでいくのを。
宇宙空間すべてのものの、羽搏つ歌の中に
 響きわたった。
「ここではない、ほかのどこかに
 ほかのどこかに、ほかのどこかに!」

「渡り飛ぶ白鳥」より 我妻和男訳
『人類の知的遺産61 タゴール』我妻和男著、327ページ
講談社、1981年

この詩集は1914年4月から書き始められ、1916年日本に来る船上で書き終えられたようです。ベンガル語版では、この詩は36番目にあり、標題の「渡り飛ぶ白鳥」もこの詩の別の部分から取られていますが、この英訳版では1番目の詩となっており、上記の2つの日本語訳も、出ている箇所が異なっています。

ちなみに英語版のタイトルは『A Flight of Swans』- Tohn Murray, 1955, translated by Aurobindo Bose とのこと。日本語訳されたものは、単独で出版されているものはないみたいで、まとめると以下の3つの本の中に含まれているようです。

◆『タゴール著作集第1巻』第三文明社、1981年
◆『人類の知的遺産61 タゴール』我妻和男著、講談社、1981年
◆『タゴール詩選 第3』アポロン社、1967年

似たような詩集に『迷える小鳥 (英題: Stray Birds)』というのがありますが、これは別物です。ご参考まで。

グロリア・ウィーラン「家なき鳥」についての記事

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Comments

まじさん、細かく調べてくださってありがとうございます。
グロリア・ウィーランの「家なき鳥」の鍵を握る詩を自分で読んで見たいとずっと思っていました。図書館で借りて読んでみようと思います。まじさんは「家なき鳥」は読まれましたか?わたしは借りて一気読みしてしまったので、もう一度じっくり読んで見たいと思っています。
タゴールの詩も・・・
2005/07/27 22:31
Yanさん、
コメントありがとうございます。私も、グロリア・ウィーランの「家なき鳥」を借りて一気に読んでしまいました。というか、面白いんですぐ読めてしまいますよね。ずっと手元に置いておきたい本です。
ダッカに住む友人にこの詩のことを伝えたので、原語でどうなっているのか調べられたら、と画策しています。そのときはまた記事書く予定にしています。
2005/07/28 01:06

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